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要らない感情は、自分の中から吐き出すことが出来る。
そんなことが可能なら、どれほど簡単だろう。どれほど、苦しまずに済んだだろう。
……なんて、思わずそんな馬鹿げたことを考えてしまうほど。
私は、嫉妬という煩わしい感情に振り回されていた。
このところ、嫌になるほど頭から離れないんだ。
この前有川くんが彼女と腕を組んでいた姿や、あの頃見た中庭のキスシーンが。
おまけにそんな決定的な場面だけではなくて、有川くんが色んな女の子と居た光景ばかりが脳裏に浮かんでくる。
どうしてこんなしょうもない光景ばかり覚えているのだろう……とうんざりするほど、それらは記憶の倉庫から芋づる式で現れてくるんだ。
有川くんの女遊びが激しい姿なんて、嫌いだった。
だけど私は嫌いだと言いつつ、そういう姿をかなり観察していたみたいで。
中学生の有川くんの姿は、大体が女の子に囲まれたものとして記憶にインプットされている。
有川くんと隣の席になって関わりを持つようになった頃の思い出よりも、そっちの方が遥かに多い。
当たり前だ。関わりたくなくて、避けていたのだから。
……でも、そう意識するたびに疑問が残る。
嫌いな人の嫌いな姿。
どうしてこんなものを、私は覚えているのだろう。しかも今思い出すほど、はっきりと鮮明に。
それも“嫌いだ”と思いながら見ていた光景が浮かぶたびに、この前感じた嫉妬の気持ちが重なる気がするんだ。
こんなのまるで。
私があの頃から有川くんに、特別な気持ちを抱いていたみたいじゃん……。
――プルルルル……、プルルル……。
すぐ側で聞こえた音に過剰に驚いて、目覚めるのと同時に勢いよく上半身が跳ね上がった。
すぐに状況を理解出来なくて、鳴り止まない音に連動しながらバクバクと鼓動が焦っている。



