どうして私って、タイミングが悪いときにばかり有川くんを見つけちゃうんだろう……。
有川くんの姿を盗み見しながら、溜め息を溢さずにはいられなかった。
会いたいと思っていた。ついさっきまで、自分から連絡しようとさえしていた。
それほどまでに会いたかった人が、今同じ空間に居る。
それは私の願いが叶ったようなものなのに、どうしてこう気まずいのだろう。
この電車に乗らなければ良かったなんて、ついつい思ってしまいそうだ。
「……」
……でも、本当は分かっている。
気まずい理由も、有川くんに気付かれなくて安心している理由も。
それは間違いなく、有川くんが女の人と一緒に居るからだってことに……。
ちらちらと人混みの隙間から見える有川くんと女の人のツーショットに、ぎゅうっと胸が締め付けられた。
きっと、彼女だよね。
この前会ったときはお互いの恋愛話はしなかったからうっかりしていたけど、そういう相手が居てもおかしくない。
有川くんに彼女が居ようと、私には関係ないよ。
頭ではそう唱えるくせに、2人の存在が気になってしょうがない。
勝手に息苦しさを覚える身体に疑問を抱くくせに、電車が止まるまで目を離すことが出来なかった。
私も有川くんたちも、同じ駅で降りた。
人波に乗って歩く私の少し前方に、2人の姿はあった。
いつの間にか女の人が有川くんの腕に絡み付いている。
こんな光景、中学生の頃にも飽きるほど見てきた。
それでもまた、胸の隙間が疼き出す。有川くんと再会しても埋まらなかった場所を、更に抉られているみたい。
……ああ、あのときと同じ感覚だ。
校舎の中庭、有川くんと女の子。触れて、キスをしていた。
そんなあの日見た光景と息苦しさが、蘇って重なった。



