吐き出す愛



 私と言えば、一度も染めた経験なければろくにヘアアレンジすらしたことのない黒髪のミディアムヘアー。それから校則で禁止されている学校でだけじゃなく休日であろうとメイクをしていないシンプルな顔に、きっちり制服を着た洒落っ気のない見た目。
 有川くんに比べたら友達は少ないし、異性との関わりなんてほとんどない。恋愛に関しては有川くんに言った通りだ。

 こういう私からすれば有川くんは、明らかに生きている世界が違う。だから関わってもろくなことがないって、思ってしまうんだ。

 違いすぎる彼の行動を見るたびに、何故かいつも嫌悪感が増していく。

 それを思い出すだけでも胸がむかむかしてきて、むすっとした表情を思わず優子に向けてしまった。


「あはは! それだけ嫌なところがあるなら、嫌うのも無理ないね。見事に智也のこと全否定だし、嫌いなのは全部、真面目な佳乃とは正反対な部分だもんね」


 優子は苦笑いと呆れた笑いを混ぜた表情でそう言った。

 だけどふと有川くんに向けた視線は、穏やかで少し悲しげだった。


 ……優子は、幼馴染みの彼のことをどう思っているのだろう。

 少なくとも私みたいに、あからさまには嫌っていないはず。

 だって“嫌い”と言い続ける私に、必死になって彼の良いところを探してフォローを入れるぐらいなのだから。

 優子から見る有川くんと私から見る有川くんのイメージが違うのは明らかだ。

 優子は有川くんに視線を向けたまま言う。