「一哉が女友達と仲良くしてるとさ、そのたびに自分の気持ちに気付くんだよね。ああ、あたしって、こんなに嫉妬しちゃうぐらい一哉が好きなんだな……って。もやもやしちゃうぶんだけ、一哉に対する気持ちが大きいんだなって気付くの。まあ、一哉には嫉妬しすぎだって言われちゃうけどね」
一哉くんの言葉を思い出したらしく、ははっとちえりは笑う。
きっと2人のやりとりは嫌味とかではなくて、愛のあるものだったのだろうって思った。
ちえりの顔は穏やかで、一哉くんの言葉も照れ隠しのものだったってことが分かるから。
「……でもさ、好きになればなるほど嫉妬もしちゃうんだよね。一哉が浮気とかする人でないことは分かってるんだけど、それでも心配になる。あたしだけを見てほしいって、我が儘になっちゃうんだよね。……って、何言ってるんだろうあたし! 何か恥ずかしくなってきた!」
急激に羞恥を覚えたらしく、ちえりはパタパタと手で顔を扇いだ。
確かに顔は、ほんのりピンク色になっている。
その姿にくすりと笑みを携えながら、私はちえりの言葉をゆっくりと心に刻んでいた。
自分でも、何がどのように心に響いているのかは分からない。
だけど、何かが私の中に小さな波を起こしたような気がしていた。
特別な存在に抱く、特別な感情。
その正体に、少しだけ近付けたような気がするの。
「あっ、もう3コマ目始まるよ! 行かなくちゃ!」
「本当だ。行こっか」
半ば自分の照れを隠すように発したちえりの言葉に賛同して、2人で重い腰を上げる。
トレイと食器を返却口に戻して、食堂をあとにした。
「ねえ、ちえり」
「んー?」
「私も、人を好きになれるかな?」
ぽつりと、不安を帯びた声で尋ねる。
先を歩いていたちえりは、振り返ると明るい声で言ってくれた。



