吐き出す愛



 小山くんは、決して嫌いなタイプじゃない。
 それでいて性格からすると、この告白にはきっと嘘偽りなど一つも含まれていないと思う。

 きっと、本気で私のことを気に入ってくれたから、試写会にも食事にも誘ってくれたのだろう。

 それは、分かってる。
 分かっては、いるんだけども……。


 足元ばかり見ていたってそこに答えが転がっているわけでもないのに、ずっと下ばかりを見ていた。

 だって今、小山くんを見たら。きっと重ねて比べてしまう。

 初めて“好き”の言葉を言ってくれた、彼の気持ちと――。


 あの頃の彼の気持ちは軽い気持ちで、目の前の小山くんの気持ちはきっと本心。

 私が望むとするなら、きっと後者のような気持ちのはずなのに。
 突然気持ちを告げられたことに驚くだけで、ちっとも胸の奥が喜んでいないんだ。

 15歳の私が彼に感じていた楽しさも、ドキドキも、息苦しさも。
 何一つ、小山くんと一緒に居ても感じられない。

 ……それが、小山くんへの答えなのだろう。


 彼に感じていたものが好きな気持ちによるものなのかと問われたら、まだきっと分からないし、違うような気もする。

 だけどあの頃の私にとって彼は、確かに他とは違う特別な存在になっていたわけで――。


「……ごめんなさい。私、小山くんとは付き合えません」


 この気持ちを抱えたまま、私は誰かと付き合うことなんて出来ない。

 恋を知ることもなく止まったままの心はもう、彼の前でしか動けないのかもしれない。