姫野なんか、どうだっていい。



あいつが前にいても、後ろにいても



例えば隣に居なくたって


違う人の隣に居たって



別に、私には関係ないもん…





たまたま、いつも教室の窓際で私の隣に居た姫野


よくよく考えれば、私はクラス内での姫野昂しかしらない。




そのことにだって気づかなかったのに




今日、たまたま学校から外に出て



いつもより距離が少し離れて



たったそれだけのこと。






…それだけのことなんだよ




私はポケットに手を入れて歩く姫野の後ろ姿を見ながら、ふぅっと息を吐いた



息を吐いても胸のモヤモヤはなかなか消えてくれなくて



なぜかこんなときに浮かぶ姫野の真っ赤な顔に、すこし癒されて



そんな自分に腹が立って




そんな、ことを繰り返しているうちに姫野の姿は見えなくなっていた。




「…帰ろ」



考えることを放棄して私は、レンガの家に帰った