「ひ…」 「あのさ」 文句でも言ってやろうかと思ったのに、少し前を歩く姫野に先を越された。 さて、どんな風にからかわれるんだろ。 「……」 「なによ?」 なかなか話し出さない姫野にイラッとして、次の言葉を催促する。 こんなやつのために一瞬でも泣いたかと思うと、自分に嫌気がさす。 でも、どうして泣いたんだろう。 一人で頭をひねってると 「…い…から」 「え?」 珍しく弱々しい声の姫野に思わず聞き返すと 「俺!別にお前のこと嫌いじゃねぇから!」