隣の席の姫野くん。





「これでわかった?」



そう勝ち誇ったように笑う山下くんは額の汗を拭った。




…走ってきてくれたんだ




タイミングがおかしいのはわかっていたけど、顔がにやけてしまう。



…私だけのために走って、私だけを助けに来てくれた。




それだけで、幸せだ…



「…さてと、どうしてほしい?蓮見」



いつもより数段低い山下くんの声に蓮見くんの肩が震えた。




「くそっ…」




「そうだ。お前はくそだな」



私でもゾッとするような顔で蓮見くんを見下ろす山下くん



ど、どうしよう…




どうしていいかわからない状況にキョロキョロとしていると




「…や、山下くん!!!あった!!!段ボール!!!!」



「は!?」




少し大きめの段ボールが窓際に置いてあった





二人で段ボールへかけよると





「…っ!ま、まて!蓮見!!!!!」





蓮見くんは今がチャンスとばかりに逃げ出した。