「こいつんちって金持ちだろ?だから周りは寄ってくるし、しかもこの顔。仲良くしてて損はないってな。人間、そーゆー生き物なんだよ」
だから、そんな関係に笹野は居場所を感じられなかった。
うわべだけの、まるで、主従関係のような仲。
だれが、落ち着けると思う?
相手が気を使うから自分も気を使う。
それがいつしか分厚い壁になって、心を開くチャンスを奪ってしまう。
一度出来た壁は、どちらかが壊し始めなきゃ壊れねぇんだよ。
「つまり…笹野さんは本当の居場所が欲しいのね」
…忘れてた。
川瀬が俺の腕の中で大人しくしてるわけが、ねぇのに。
最近弱ってたからすっかり、忘れてた

