隣の席の姫野くん。






「なん…のこと?昂のことはもう諦めるわ。だからなんの支障もない。居場所だってちゃんとあるし…」




笹野の目が泳いだのを見逃さなかった。



「…もう、金と顔で作り上げたあそこにも居場所ねえかもよ」


クラスの方に目を向けると、全員深刻そうな顔をしていた。



たぶん、川瀬が犯人じゃないって伝わったらしいな



「金と顔でって…ちゃんと、私の力で、私の信頼性で得たのよ…?」


「…どうだか。少なくとも俺は自分の思い通りにするために他人を傷つける奴と仲良くしたくはねーわな」



思ったことをそのまま伝える。


こいつは一度苦しんだ方がいい。


…そう思ったから。



「姫野…金と顔でって?」


泣き終えたのか川瀬が顔をあげた。



…顔近いんだけど。




不思議そうな顔をする川瀬に慌てて説明する。



変態って思われたくねぇ。