「もう!ここにいるとイライラするわね。少し頭冷やしてくるわ。劇までには戻るから」
しばらく二人で話していたけど、笹野さんに私に手を出さないと言わせられなかったらしく、のんちゃんは一人でどこかに行ってしまった
…え!私も一緒に行きたかった!
追いかけようとして立ち上がると、誰かに腕を引っ張られた。
「川瀬さんはここにいて?少し話もあるし、ね?」
私の腕を引っ張ったのは、不気味に笑う笹野さん。
私は黙って座った。
顔をあげるのが恐くって、ずっとうつむいていた。
「そーゆーとこ、腹立つのよね」
左から聞こえた、低い声。
絶対、顔をあげちゃだめだ。
「あんたのそーゆーとこ嫌い。自分が可愛くて可愛くて仕方がないんでしょう?」

