隣の席の姫野くん。




「も、もしもし?」



もしもしで噛むとか!なにしてんだ自分!


一人でつっこんで、一人で頭を抱えた。



…虚しい




『あー。川瀬?』



電話越しの姫野の声は、少しだけ低くていつもよりハスキーに聞こえた。




「なによ?」



私の声はどんな風に聞こえてるんだろう。



もう少しだけ、可愛い声に生まれたかったな



…可愛い声だったとしても、言うことがこれじゃ意味ないか。



私はなんだか落ち着かなくて、色々考えたり毛先をいじったりしていた。





『いやー。泣いてんじゃねぇかなって思って』


しばらくして、すこし恥ずかしそうに姫野は言った。



なんでバレてんのよ!とか思ったけど口には絶対に出さない。




「大丈夫っていったじゃん」



素直に「心配してくれてありがと!」
とか言えない当たりが私らしいよね。



もはや、可愛げがないことを開き直りはじめる。