あたしは教室の目の前まで、恭夜の手を握ってたけど



さすがに、これは恥ずかしいから、パッと手を離した。

でも、離したかったんじゃない。
本当はずっと手をつないでいたかった。

本当は教室に入って
「付き合いはじめたの。」
って自慢したかった。



あれ?
自慢したいの?


なんで自慢したいの?




自分で自分の気持ちがよめない・・・。




おどおどしてると・・恭夜はあたしの手をもう一回つかんだ。



「離すなよ」


ボソッとつぶやく声に


真っ赤になった顔のせいで何も答えられない自分がいた。




そのまま教室に入って



「蛍瑠姫、俺の彼女。とった奴、ナンパする奴、まじキレるから~」




軽い風に言ってるけどあたしにはわかった。


チラッとあたしのほうを向いて


ニヤッて笑った彼の顔は・・・



まるで

「安心しろ」っていってるみたいだった。