最悪彼氏×最悪彼女



「ん...。」


藤谷が目を覚ました。

「よかった...。」


この声はもちろん、藤谷には聞こえていない。





けど、俺はバカだった。
心にも思っていないことを、言ってしまった。


「ったく、お前のせいで練習できなかったやん。お前、せめて迷惑かけないようにしろよ。」



馬鹿だった。言ってから後悔した。

でも、もう遅かった。



藤谷は、こんなに頑張っているのに。
一人で、自分を隠しながら生きてるのに。


こんなに辛い思いをしているのに。


俺は最低だ。


「出てって。」



藤谷にそう言われた瞬間
俺は何も考えられなかった。


「出てってよ!
 陸が迷惑なように、私だって陸が迷惑なの!
 気分悪いから、もう出てって。」



ごめん。藤谷。
俺は迷惑なんかじゃない。

けど、藤谷にとっては、俺は最低な人間だな。



「...分かったよ」


もう。迷惑はかけないから。
辛い思いもさせないから。


だから、無理するな。


心の中でそう呟いて

俺は保健室から出て行った。


陸side end.