恋するほど   熱くなる

翌日アランは私をシーナ先生のいるロイヤル・バレエ団のオフィスへ連れて行った。

「まぁ、アラン、いつ帰ったの?」

「先週です。お元気ですか、シーナ先生?」

「生徒たちが言うことを聞かなくて。そちらはどなた?」

「美莉です。初めまして。」

私はアランの恩師に挨拶をした。

「シーナ先生、彼女は先生の姪です。」

「まぁ、それは本当なの、アラン?」

「美莉は先生の妹の恵子にバレエを習っていました。」

「心臓がドクドクしてきたわ。何てことかしら。」

「まだあります。美莉は今度の日本公演で私のパートナーとして踊ります。」

「アラン、なんて素晴らしいの。こんなことってある?美莉、あなたの踊りを見せてちょうだい。時間があるならスタジオを空けるわ。」

「シーナ先生、美莉と私は先生に会いに来ただけですよ。これから踊れだなんて、先生らしいリクエストですね。」

「アラン、私なら構いません。」

「美莉、君もシーナ先生と血がつながっているわけだ。私が先生以外に振り回されるなど考えられなかったことだ。」