僕はパソコンの画面に映った沙良を見つめた。

あの頃と変わっていない彼女に

封印された僕の想いがじわじわと流れ出してくるのを無理やり胸の奥へ押し込んで閉じた。

「彼女のことはいいよ。」

「そうですか。」

「君はこの作詞の仕事をやるつもりなのか?」

「荒木さんは反対ですか?」

「君がやれる所までやればいい。」

「ありがとうございます。」

私は荒木さんが沙良さんのことで何か普通でないのを感じていた。

須山さんの元恋人だと聞いた時から

荒木さんの様子が変なのを私は女の勘で何かあると思った。

荒木さんに聞いてもきっと何も答えてくれないと思ったので

須山さんに聞こうと思った。

私は曲が完成したら聴きに来るように

リーダーの卓巳から言われていたので須山さんに連絡を入れた。

私が荒木さんを通さずに直接電話を入れたことに須山さんは少し驚いたようだった。

「君一人で来るなんて、あの荒木が許可するわけがないだろう?」

彼は鋭かった。

「須山さんにお聞きしたいことがあるんです。一人で行ったらダメですか?荒木さんには内緒にしてもらえませんか?」

「いいだろう。○○時なら空けておく。この間のスタジオにいるよ。覚えてる?」

「はい、大丈夫です。」