「美莉、君もしかしてまだヴァージン?」

「どうしてそんなことを言うの?」

「わかりやすいんだよ、美莉が。」

私は卓巳の瞳で裸にされたかのようにその場に突っ立っていた。

ヴァージンかと聞かれて恥ずかしかった。

『彼の瞳が私を裸にした。』

とこんな時でも頭の中に爆なフレーズが浮かんで止まなかった。

「ちょっといいかしら?」

「何?」

「今いいフレーズが浮かんだの。メモするから。」

私は持っていたノートにすらすらと今思い浮かんだフレーズを書いた。

ノートにはびっしりと文字が書いてあった。

「美莉、これ全部詩なの?」

「これはフレーズメモなの。思いついたらすぐメモできるようにいつも持って歩いているの。」

「ふぅ~ん、さっきの話だけど美莉のヴァージン、僕がほしいって言ったらどうする?」

「あ、あの、そ、それは。」

私は卓巳のストレートな言葉に心臓が破裂しそうだった。

「美莉、こっちに来て。」

荒木さんに呼ばれた。

「は、はい。」

私はノートを抱えて音響室へ歩いた。

後ろから卓巳が言った。

「美莉、今度いつ来る?」

「わ、わからないです。失礼します。」

あぁ、困った。

卓巳の瞳は鋭くて

見つめられたら動けなかった。

この先こんな風でやっていけるのかしら?

と私は不安になった。