「ちょっと待って。美莉の詩は他にいくつある?」

「昨日十二作目を書いたばかりです。」

「楽しみだな。美莉の詩に溺れそうになる。君の想いを歌い切ってみせるから必ず聴いてほしい。」

「はい。」

卓巳は私を見つめてまだ何か言いたそうだった。

「あの、私の詩全てに曲をつけるのかしら?」

「そうだよ。僕が曲を作るんだ。」

「いつもピアノで?」

「そう、なぜ?」

「詩はハードなのに曲がソフトだから、ちょっと驚いたの。」

「完成したら全く違う曲に聴こえると思うよ。」

「そうなの?編曲すると違うの?」

「ギターとドラムがこんなソフトな曲をメチャクチャにするんだ。」

「メチャクチャってところが可笑しい。」

「美莉、僕が君をメチャクチャにしてやりたいって言ったらどうする?」

「えっ?」

私は顔が真っ赤になったかもしれないと思った。

今すぐこの場から逃げ出したいと思った。

でも足が動かなかった。

卓巳の視線に逆らえなかった。

彼の言葉にドキドキして胸が苦しかった。