「荒木、女だなんてなぜ言ってくれなかったんだ?」

「須山、この業界では女はダメなのか?」

「そうじゃない。そうじゃないがバリアーの専属は女じゃマズいんだ。」

「なぜ?」

「つまりだ。彼らのファンに悪い印象を与えかねない。」

「そうか。わかってきた。ファンは女ばかりだ。」

「仕方がない。こうなったら名前だけでも男でいくしかない。」

「なるほど。」

「メンバーを紹介するから階下へ降りよう。」

私は二人の後ろを歩いた。

「他の詩は持ってきたか?」

「ああ。」

「昨日の詩に曲がついた。もうすでに音合わせを始めている。聴いていくだろ?」

「あの、須山さん?私の詩はどうでしょうか?」

私は誰が気に入ってくれたのか知りたかった。

「美莉、君は思う存分詩を書いてくれればいい。」

「はい、ありがとうございます。」

私は思う存分書きたいと思っていたので彼の言葉が嬉しかった。