日曜日の午前中に関根先生のレッスンを終えてから

荒木さんの兄である婦人科医を訪ねた。

内膜症は軽いけれど

続けて薬を飲まなければならなかった。

「先生、ありがとうございます。いつも休日に申し訳ありません。」

「いや、私なら構わない。ところで、隼人は相変わらず忙しいらしいな。」

「はい。仕事の虫です。」

「全く医者の私より忙しいとは、アイツらしいが。」

「あの、先生は荒木さんのお兄さんですから、荒木さんのことをよくわかってらっしゃるでしょう?」

「そうだな。隼人は一度は医者を目指したが、他に夢中になれるものを見つけた。だから医者にならなかった。それだけだ。君が知りたいのはそのことだろう?」

「はい。荒木さんはいつも私のそばで私を支えてくれます。このままでいいのか自分で自分に問いかけても答えが見つからないんです。」

「君は自分のことで彼に負担をかけているのではないかと、そう思っているわけか?」

「そうです。余りにも多忙なので、見ていられないんです。」

「隼人は自分のことは自分で管理できる人間だ。まして医者の免許も持っている。いくら多忙だからと言っても自分の身体の限界くらいわかっている。君が気に病む必要はないのでは?」

「でも心配です。」

「ほぅ、隼人がうらやましいな。君にそんな風に思われて。」