彼はまつ毛が長い。

目を伏せるとその長さに驚く。

まばたきをした。

奥二重だけど切れ長の目にすっきりとした鼻

上唇が薄くて下唇が程よくふくらんでいた。

黒い髪をかなり短めにカットして

長身の身体にはいつもスーツを着ていた。

どんな体格をしているのかスーツだとよくわからなかった。

声は低めで

たまにかすれた。

彼の低い声がかすれると

甘い感じに聞こえた。

そう思って胸がドキドキしてきた。

私は自分の胸の鼓動が早くなっていくのをしっかりと意識できた。

私はいつもそばで私を支えてくれる彼が好きだと確信した。

「どうかした?」

「何でもないです。」

「これを見て。沙緒里のことがスクープされている記事だ。」

私はコシップ誌や週刊誌を見せられた。

妖精プロジェクトのナンバーワンに輝いた彼女の記事ばかりだった。

『妊娠、引退か?お相手は彼女のイケメン・マネジャー』と書かれていた。

「沙緒里は後咲きを狙っている。僕の考えでは産後に完全復帰をしてスロットル全開でひた走ってくるだろう。聞いてる?」

「びっくりしてしまって。」

「とにかくナンバーワンがこういう状況だ。君もいつどこでカメラが回っているかわからない。一人で行動する時はくれぐれも気をつけるんだ、いいね。」

「はい。」