恋するほど   熱くなる

僕は会場内で美莉を連れ歩いた。

上層部の連中の九割に彼女を紹介していった。

美莉は全員と握手して回り

普段の彼女の丁寧な態度と

年齢の割りには物静かなしゃべり方をし

小柄で色白だった。

ほっそりとした身体に生まれつき上品な仕草をするタイプだ。

だがダンスとバレエで鍛えた身体は見た目にはわからないだろう。

こげ茶の髪をアップにして

アクセサリーはあえて何も身につけさせなかった。

メイクもノーメイクに近いナチュラルに仕上げた。

彼女は内面からにじみ出る優しく柔らかく繊細な感じを後ろに引きずり

それらを残しながら会場内をくまなく歩いた。

やはりその人間が本来持っている雰囲気は

誰にも真似できないものだ。