恋するほど   熱くなる

出発の前夜

私はホテルの部屋で荷造りを済ませた。

いよいよ明日は東京へ帰るんだ。

待ち遠しかった。

すぐ卓巳に会えるかわからなかったけれど

彼が欲しくて身体が熱かった。

卓巳を想うと欲しくて震えた。

でもどうしようもなかった。

空港に着いたら彼にメールを送ろうと思った。

コンコンとノックの音がした。

「今頃誰かしら?」

「美莉、アランだ。」

「アラン、どうしたの?」

「入ってもいい?」

「どうぞ構わないけど。」

「君に話があるんだ。」

「何かしら、公演のこと?」

「いや、違う。君は日本に恋人がいるんだろう?」

「ええ、いるけど。どうしてそんなことを聞くの?」

「この間シーナ先生の前で踊った時、君は最高だった。それが忘れられなくて。」

「ありがとう、アラン。」

「あれ以来、私はどうしても君ともっと親密になりたいと思っていた。今の私の正直な気持ちだ。ところで君は明日三ヶ月振りに帰国する。きっと恋人に会いたいだろうと思って。今の君の中は彼のことでいっぱいなはず。違う?」

「私も正直に言うわ。彼に早く会いたいと切実に思っているわ。彼のことで頭がいっぱいなの。考えていたら身体が熱くなってきてしまって。ごめんなさい。あなたに言うことじゃなかったです。」

「美莉、ギブ・アンド・テイクだ。」