俺はためらいを振り切るように、彼らから目を背けて凪原の腕をつかみ居間の奥に置いてある屏風の裏に隠れた。 俺たちが隠れると同時に、家の空気ががらりと変わる。 まるで、真冬の外のような寒さだ。 心なしか部屋の雰囲気も少し暗くなった気がする。 「………来た」 ぼそりと凪原が呟くと同時に、開けっ放しの玄関からあの赤く染まった着物を着た女性が現れた。 ……俺たちは玄関の戸を閉めたはずなのだが……。