「おいあんたら!早く逃げろ!」


声を荒らげても、彼らは振り向きもしない。

俺は思わず舌打ちして、男の方の肩をつかみにかかる。


だが、俺の手は彼の肩を通り抜けたのだ。


「え…」

女の方も肩をつかもうとするが、結果は同じで。


まさか、実体がないのか!?

「くそっ!」


「北見早くしろ!」


凪原は焦って、言葉が乱暴になってきている。