俺はちゃんと前に進んであるいてた。 どこかで曲がった覚えもないし、振り返ってもない。 「…なんでだよ!」 俺は叫ぶように聲をあげ、もう一度来た道を走って戻った。 「北見!」 後ろから凪原の鋭い聲が聞こえた気がしたが、風を切る音にかき消される。 しかし何度試しても、結果は同じで引き寄せられるように必ず桜のもとに着いてしまう。