聲が、聞こえたから。 “タスケテ”って…悲痛な聲が。 でもそれを言って納得してもらえるだろうか。 「……散歩してたら、迷った」 適当に言ったが、きっと凪原なら納得するだろう。 深く考えもせず。 「そう」 凪原は満足したように頷いた。 よかった。単純で。 「…とりあえず、入ってきた道を戻ってみるか」 「了解!」 「………………」 ニカッと笑う凪原と対照的に、俺の心は不安が増すばかり。 前途多難だ…。