「う…わ、」 俺は反射的に桜の花弁から手を離した。 見えたのは、聴こえたのは、束の間の幸福と激しい憎悪。 大切な人ができた身に余るほどの嬉しさと幸せ。 大切な人を理不尽に奪われた絶望と悲しみ。 それが一気に流れ込んできて、どうにかなってしまいそうだ。 「幸助さん…ていうのは、斧女……じゃなくて霞の恋人みたいな人だったんだな」 「そうだね」