“続いて他の村人も『羅刹様…』と言いながら幸助さんの体に鎌や鍬を突き刺していった。”



“私はなにもできずただ呆然と目の前の悲惨な光景をしっかりと見続けていた。”


“今すぐ彼の名前を呼びながら彼のもとへ駆け寄りたい。”

“けれどそんなことをしたら、次にあの血に染まった鎌の餌食になるのは私…。”


“私は口をふさいで必死に聲を圧し殺していた。”

“瞳からはボロボロと涙がこぼれるのに、私はなにもできない。”


“やがて彼らは幸助さんの遺体を持って、いずこへと行ってしまうまで、私は一歩も動けなかった。”