“今思えば、幸助さんの存在自体、この村では異質な存在だ。”


“村人はみな信心深く神や仏、妖などの類いを本気で信じていた。”

“なのに彼はこの村で奉ってる羅刹様という存在すら否定し、現実的な考えを貫いてる。”


“私はどちらでもなく、信じろと言われたら信じる、そんな曖昧なものだった。”

“たぶんその煮えくらない考えが村人から疎遠にされていた原因だろう。”


“けれど幸助さんは村人から蔑ろにされるでもなく、むしろ好かれていた。”

“きっとそれは、彼の人柄の問題だろう。”