「………凪原」


彼女がここまで運んでくれたのだろうか。


ありがたいと思うが、これで体が痛いのが説明がつく。

おおよそ、引きずったりして敷居や鴨居に俺の体をぶつけていたのだろう。


普通の女子にならこんなこと思わないのだが、彼女なら妙に納得できて俺はつい苦笑した。


「北見、あ、えと…その、大丈夫?」


慌てて俺の容態を気にする凪原は、ちょっと新鮮で面白かった。


「ああ。悪い…看ててくれてありがとうな」


そう言うとあからさまにホッとする凪原。