俺は危ないから注意しようと弟を見やる。 その時だった。 勇み足だった弟は、階段の一段目を踏み外したのだ。 一番上だったため弟の体は重力に従い遠い地面に落下していく。 “ゆい!” 俺は弟に向かって手を伸ばした。 けれどその手は、弟の肩に当たり結果的に弟の落下を後押しするような形になってしまう。