「北見?泣いてるの?」 「え?」 言われて自分の頬に手を触れると、濡れていた。 俺は泣いてるのか? 「よしよし」 凪原に慰められるように頭を撫でられる。 ……なんかカッコ悪いな俺。 俺は乱暴に手で涙をぬぐい、「大丈夫だ」とその手をやんわりと制した。 「……大丈夫だ。行こう、絶対ここから出るんだ」 俺は手帳をポケットにしまい、廊下へ続く扉を開けた。