階段を登った先には、大きな屋敷があった。


中央開きの門の左右には灯籠がぼんやりとした灯りを灯し、門の奥からもわずかな灯りが見える。

あの斧女はここに消えたのだろうか。


閂が嵌まってる門の表面を軽く触れる。



“……助けて”

「!」


これは、森に入る前に聞こえた聲だ。

この先に、彼女はいる。
そんな妙な確信を持てた。


「…行くぞ」


俺は凪原に聲をかけ、閂を外し中に入った。