一段一段登るたび、妙な空気が肌に張り付いてきて気持ち悪い。 見えない鎖が足に絡まってるような重さを感じる。 まだ十段ちょっとだろうが、それだけで精神的に疲れてきた。 ………凪原は別として。 彼女の鈍さが羨ましい。 階段を登り切った頃には、この場所の異様な空気に足が震えていた。 それを叩いて叱咤し、俺は顔をあげる。