「リョウの歌も聞きたいなぁ~。音楽好きだからどんなジャンルの歌でも歌えるでしょ~」










我ながら、こんな甘えた口調は生まれて初めてかも知れない。


   

   




   リョウだって別人格演じてきたんだから、お返しよ。








「ええ~。俺って真由ほど上手くないし、恥ずかしいな~」



   



   よく言うよ!!私の歌のどこが上手い???


  
   



   っていうか聞いてなかったくせに!!!


 
   




   さっきから携帯いじってんの知ってんだから!!!








「聞きたいなぁ~。リョウの歌っている姿見たいなぁ~」






私だって可愛らしく演じることだって出来るはず。








ちょっとぎこちなかったけでど、可愛らしく笑顔で微笑む。

    

   


   と、私も負けじと入曲。







流れるメロディーに外さない歌声。


   
   



   すっごく悔しいけど 上手い!!!







さすがに、音楽好きだって言うだけある。



   



   パチパチパチ。







思わず拍手しちゃった。



   



   で気づく!


   
   



   私の歌声って・・・・何なのって感じ・・・


   
   



   敗北です・・・








「いや~照れるね。俺って美人の前では張り切るタイプだからさ」







そう言うセリフもサラッと言ってしまうリョウは流石だ!








普通の女の子だったら顔が赤くなっているところだろう。


   
   


   でも、お生憎様。


   
   


   私には通用しませんよ。








「リョウみたいに格好良い人からそう言われると、本当に嬉しわ」







「フッ。全然そんなこと思ってないくせに」




   


   えっ。  


   
   


   声のトーンが変わった。







ぎこちなく笑顔を作ってリョウの方を見た。







リョウは、一見、優しそうな笑顔をしているが、感情は読めない。


   

   


   だから・・・ちょっと怖かった。







「真由っていつもそんな感じ?それとも相手が俺だからそうなの?」






「・・・何が?」







「つまらなさそうだからさっ。」



   


   す、鋭い!







「そ、そんなことないよ。ただ、リョウが歌上手すぎるから。引いちゃったって言うか、次、歌い辛いかなぁ~なんてね」



   
   


   とにかく、この場の気まずい空気をどうにかしないと。








「ふ~ん。そう言う事」







リョウは相変わらず、読めない表情を浮かべている。



   
   



   さっきより、気まずさが増しているような・・・


   
 



「俺さ~。正直、今日の相手って期待してなかったんだよね~友達の代理だったし、ネットで知り合った女なんて、大抵ハズレだろうってね。でも、真由が入ってきた時スッゲー驚いたし、嬉しかったよ。だってさ~、春日真由だぜ?テンション上がるだろう?」







「そ、そう?」







言葉では褒めているようだけど、声や顔つきが、怒っているような・・・







それに、友達の代理???って言ったよね・・・



   



   どういうこと???






訳が分からず次の言葉が出ない。







そんな真由をリョウは、じっと目を見つめたまま離さない。







気がつけば2人の距離も縮まっている。







「俺といると退屈かなぁ?」



   


   こ、怖い!!!







普通の言葉なのに、脅されているように聞こえる。







『俺様に、つまらない態度取るなんでいい度胸じゃねーか!!』って言われた
みたいで・・・体が固まる。








「そ、そんなことないよ。リョウが格好良すぎて、緊張しているっていううか
、恥ずかしいだけなの。だから退屈なんてしてないよ」








とりあえず、口から出た言葉だったが効果は絶大だった。








リョウの表情がさっきとは打って変わり明るくなった。



  
   


   が!!







リョウの手が肩に伸びてきて。








「俺が緊張をほぐしてやるよ」








近づくリョウの瞳が薄いグレーで綺麗だなって思ってしまった。







「真由、本当に綺麗だね」



   


   えっ!!






自分がすっごく無防備にリョウを見つめていたなんて








気づいた時には遅くって・・・・







「んんん・・・・」







重なった唇が柔らかくって、体の力が抜けそう・・・




  



    私・・・キスしてる・・・・