「ねえねえ、今日新しく入った男の子、凄く綺麗だったよね!」
「分かるっ! なんか王子様って感じ」
「私、あんな綺麗な男の子初めて見た…」
バイトが終わったあとの更衣室。
私より新しく入ってきた女の子たちが頬を染めながら、このバイトに新しく入った男の子について話している。
私はひとり、無表情でバイト服に着替えていた。
「でもあれだけ綺麗なんだから、彼女とかいるよね…」
「絶対、美人だよねー」
「萌々(もも)さんはどう思います?」
「え、」
自分の名前を呼ばれたと気付くのに少し時間がかかった。
あまりバイトの人たちとは関わらないようにしていたから。