三日三晩、美亜は高熱を出して意識を失っていた。


目覚めた時には、フカフカのベッドの上にいて驚いた。

温かくて気持ちがいい。

まるでおとぎ話のお姫様みたいだと思った。

「気が付いたか?」

そう彼女に呼びかけたのは、多分あの男。

背負われていたから顔なんて覚えていなかった。

美亜を覗き込んだ男の瞳は、真っ直ぐで綺麗だった。

それはあの夜に掛けられた言葉と一緒。

「あんなずぶ濡れで無理すっから、凄い熱で大変だったんだぞ」

男は美亜の額に手を当てると、「よし」と大きく頷いた。

「何か食べれるか? おかゆかスープか……、それともプリンとかアイスとか……」

お腹は空いていなかったけれど、喉が渇いていた。

『ミ……、ズ……』

声にならない微かな息が美亜の口から漏れた。

「ん? 美亜、なんてった?」

「……」

声が出ない。

仕方なく、その男の手をとり、手の平に字を書いた。