「まさか雄一の失恋の相手がユキだったとはな」

「失恋って……、振られたのはわたしの方ですよ」

「あいつはそうは思ってないぞ」

「だって、卒業しても連絡もなかったし」

「連絡しようがなかったんじゃねぇの?」

「かもしれないけど……」

「ま、再会できたんだ、素直に神様に感謝しろ。

この再会をどう生かすかは、お前次第だからな」

「えっ?」

「どうせまた、あたしなんか〜、とか思ってんだろ」

「な、なんで……」

「わかるさ。

けどな、生まれた境遇はお前のせいじゃねぇ。

親が無いのも、金が無いのも。

だから自分を卑下するのだけはやめろ。

雄一はこれっぽちもお前を同情したり憐れんだりしてねぇぞ。

あいつはな、いっつもお前の真直ぐな姿勢を褒めていた。

飾り気のないお前の素の姿をわかって好きになったんだ」


「……」


「信じてみろよ」


弘幸はそう言って、暗い夜空を仰ぎ見た。