「まさか、変な事考えてないだろうな?」


「へ…変な事?」


「こっちは、ただでさえ人手不足なんだ。これ以上休まれたら、すげー迷惑なんですけど」


あの……そんな事言われたら、絶対に辞めるとか言えないし。


「あっ……いや…」


「とにかく、明日から元気に店に来い。分かったな」


「…はい」


そう言うと、ガチャンと一方的に電話を切られてしまった。

辞めたい時に辞められないなんて、どんなバイトなの?!

昨日の人と同一人物とは思えない反応に、蓮が二重人格なんじゃないかとリアルに疑った。


―――ツーツーツ―


と、乾いた電子音が耳元で鳴り続けている。


ハァ…―

力無くため息を吐くと、私は携帯をベットに放り投げた。

明日の事を考えると、憂鬱で仕方かなったのだ。


まぁ、いつかは翔君と話さなきゃならないんだからね。

起きていると色々と考えちゃいそうで、早々と眠ってしまう事にした。


明日が来なければ良いのに……


なんて考えながら。