ドキドキしながら、海の家に電話をしようとする。

そして、通話ボタンが押せない回数10回目の私。


どこまでヘタレなんだ!!!


さっきも、番号が書かれた液晶画面と5分間もにらめっこしながら、やっぱり諦めたの。

次こそは……


意を決して通話ボタンを押した。


―――プルルルル


耳元で鳴る呼び出し音。


やっぱり、無理!!


そう思って切ろうとした瞬間、電話口から声が聞こえた。


「はい、海の家Sinです」


「……」


「もしもし?」


「…もしもし」


電話に出たのは蓮だった。
寄りによって、なんで蓮なんだろう。


「どうした?」


相変わらずぶっきらぼうな蓮。


「あの…店長さん居るかな?」


「今忙しいから、要件聞くけど」


よ…要件聞くって、言える訳無いじゃないのよ。

無言な私に変わって珍しく話してくる蓮。