マキュロンで傷口を消毒すると、顔を歪ませる蓮。

絆創膏を貼ると


「はい、終わり」


と、肩を叩いた。


「いって―な!!もう少し優しくやれよ」


「うっさいうっさい。傷口が膿むより良いでしょ?」


「それにしても、女なんだからもっと何かあんだろうがよ――」


ぶつくさ文句を言う蓮に、気になっていた事を聞いてみた。


「蘭さんって誰?」


「……」


「大丈夫、もう覚悟は出来ているし…慣れてるから」


そう言う私の腕をがっしり掴んだ蓮。


「な…何すんのよ?」


「お前が、また逃げたら困るから」


私を見ながら言うと、視線を道路に移した。

夜中なのに止むことの無い車の流れ。
そんな車を見ながら、蓮は昔の事を語り始めたんだ。