だんだんと小さくなっていく翔君の背中を見ながら、体中から力が抜けていった。


終わった。


……って事だよね?

蓮の腕を掴みながら、ガクンと膝の力が抜けて砂浜にへたり込んだ。


「お前、バカだろ?翔を行かせて良いのかよ?」


息が上がったまま、高ぶった感情を私にぶつけてくる蓮。


蓮は間違った事なんか言ってない。


でもね、違うんだよ。
そうじゃないの。

いくら止めても、きっと翔君は行くよ。

そんな瞳だった。
何かを決めた男の眼をしていたんだ。

だから、翔君を好きだから……

後悔して欲しく無かった。


「仕方ない……」


「仕方なく無いだろ?お前が翔の彼女なんだろ。しっかり翔の事を掴んでおけよ!!」


そう、私が彼女のハズ。

いつもそう。
私が彼女のハズだった。

でも、そう思って居るのは私だけだった。


「…違うんだよ」


「違う事無いだろ?だから、お前はいつもそうなんだよ」


そんな蓮の言葉が、私の心をえぐっていった。