そんな私を、フフッと笑いながら


「嘘だよ。俺も愛莉ちゃん見てたいし」


そんな言葉に、持っていた花火がポロッと下に落ちた。


ゆっくりと翔君の手が私の髪を撫でる。

そのまま首を引き寄せると、簡単に私の体はよろけてしまう。

翔君にもたれかかった私は、そのまま翔君の胸に顔をうずめた。


私の頭に、優しいキス。


髪を撫でてくれる手がすごく心地良かった。

翔君に触れられると、体の全てが敏感になる。

心も、肌も、唇も耳も、神経が入って居ないはずの髪の毛さえも……

嫌になる程、敏感だった。



『あの……店の真ん前でラブシーンするのとか、めちゃくちゃ迷惑なんですけど』



!!!!!


思わず翔君から離れた私は、どうやら思いっきり翔君を突き飛ばしてしまったらしい。

真っ赤になりながら謝る私に、苦笑いしながら『大丈夫』って言ってた。


本当についてない!!!


私のバカバカ。

ってか、蓮がそんな事を言うからいけないんだからね。

蓮はそんな事お構いなしで、水が入ったバケツを持ちながら


「さ――て、花火やるぞ」


と、気合い充分。

ため息を一つすると、蓮が居る場所まで散らばった花火を持って行った。

どうやら、花火大会が始まった様だ。


蓮の勝手な開始の合図で……