まず私達は、店長に挨拶をした。


「まぁ、緊張せずに頑張っていきましょ」


そう言うと、開店の準備をしていた2人の男の子を呼んだ。


「蓮、翔!ちょっと、こっちに来なさい」


「んだよ親父。まだ、忙しいんだよ」


そう言い、色黒な男の子はふてくされながら店長の前まで来た。


「コラッ、蓮!!お店では店長と呼べと言ってるだろうが?」


そう言うと、彼の頭をバシッと叩いた。


「いって~な!!ハイハイ、てんちょ―」

その後ろから、その様子を笑いながら見ているメガネをかけた男の人が居る。


うん、確かに2人ともタイプは違うけどイケメンだわ。


調理場からは

「あんた達、喧嘩しないの――」

と女性の声がした。


「この4人がスタッフだから。

分かったかと思うけど、コイツが息子の蓮であっちの子が、コイツのいとこの翔。

調理場に居るのが、私の妻の沙織。
家族で切り盛りしてるから、分からない事が有ったら遠慮せずに聞いて下さいね」


そう言うと、目尻に皺を作りながら私達に笑顔を向ける店長。

私達は優しそうな方で良かったと、ホッと肩を撫で下ろした。



メガネをかけて色白な翔君と、ぶっきらぼうで色黒な蓮君ね。

私達は、みんなに自己紹介をすませると、店長は掃除を手伝わせた。


「じゃあ、翔は彩乃ちゃんを蓮は愛莉ちゃんをよろしくな」


そう言うと、店長は調理場に入って行った。


「はい」

と素直に返事をする翔君に対し、

「え―――めんどくせ」

と悪態をつく蓮君。


「すっ…すみません」

なんて、とっさに謝ってしまったけど、私が謝る必要無いよね?!

向こうでは、楽しそうな2人の声が聞こえてくる。


ああ、私ったらつくづく運が悪い。


先が思いやられるわ……