「暇だね~~」

「雨だからね。仕方ないよ」

私と彩乃は壁際に並び、ガランとした店内を見ながら話していた。

「最近どうよ?進展してないの?」

「やだ、彩乃!!!声デカいから」

そう言うと、慌てて彩乃の口を抑える。

「んごっ」

モゴモゴさせながら、私の手を口元から引き剥がした。

「ちょっと、殺す気?!」

「ごめん…ってか、彩乃の声がデカいから」

「で?どうなのよ?」

一応、小声にした彩乃は私の目を見つめながら、意味ありげな顔で聞いてくる。


「別に何にも。相変わらずお友達」

そんな言葉を聞くと、つまらなそうに

「なぁ~~んだ」

って、勝手に変な期待しないで下さい!!


――そう、結局あの日からもう4日も経ってしまっていた。

翔君も何も言って来ないし、蓮も相変わらずな様子で何も変わって居なかった。


当たり前の日常が、もしかしたら一番良いのかもしれない。


そう思えた昼過ぎの事、いきなり翔君が私の前に来たのだ。