その後、部屋に戻ってから彩乃に電話をかけた。


「もしもし、どした?」

数コール後に出た彩乃。
やっぱり、安心する人だな。

「今日ごめんね~~」

「ああ、大丈夫だけど…何してたのよ?」

電話口からでも分かる位の、彩乃のニヤケ顔。

「…あの…ね」

「なによ、告白でもされた?」

「ひゃ…そんなんじゃなくて…」

ああ、長年の付き合いって怖いね。

私は一部始終を彩乃に話したんだ。
彩乃は、たまに相槌をうつだけで殆ど私が話していた。

「ん―…翔君の事良く分からないから何とも言えないけど、翔君良い人だと思うけどな」

「でも蓮の言葉、気にならない?」

「気になるけど…大丈夫じゃない?ってか、愛莉は蓮君の事が好きだと思ってたよ」


「はぁ?!」


彩乃の思わぬ発言に、電話口なのに大声で叫んでしまった。


「愛莉、うるさいし」

「ご、ごめん。ってか、それだけは絶対絶対絶対絶対無いから!!!」

完全否定な私に対して

「あはは…どうかな~~」

「……」


意外とあり?


……いや、無い無い無い無い無い!!!


少しでもそんな事を考えてしまった自分に嫌気がさす。

そんな私の思考なんて、電話の向こうの彩乃には分かるはずも無くて


「あれ?愛莉寝ちゃった?」


寝てませんから!!!