オレンジジュースは、しゃべり続けていた私の喉に潤いを戻してくれる。


「お前さ、少しは女の子みたいに飲んだら?」


そんな事言うもんだから、吹き出しそうになっちゃった。


「う、うっさい!!」


結構図星だから言い返す事も出来ずに、とりあえず些細なる抵抗を試みる。


「お前さ、好きな人が出来たら教えろよ」


そう言うと、ニコッと笑いながら子供にするみたいにポンポンと頭を叩いた。



―――ドキッ


ってなによ、このドキッって!!

あ―ん、バカバカ。
蓮になんて、そんな気持ちになるはず無いし。


私には翔君の方が……


翔君の事何にも知らないのに、よく言うよね。


「ねぇ、……翔君ってどう思う?」


ピタッと蓮の動きが止まった。


「翔に何を言われたんだ?」


今までと違って、いつものピリピリした威圧感満載の蓮になっている。



―――何かある


私じゃなくても直感で分かるはず。
一瞬、蓮の眉間にシワが寄ったのを見逃さなかった。


「…好きって」


「翔は辞めとけ」


私が言い終わるや否や、蓮はぶっきらぼうにそう言うと空になった缶をゴミ箱に向かって投げた。


―――ガランカンカン


甲高い金属音を立てながら、ゴミ箱に吸い込まれる様に入って行った。