「…あっ……ああ。別に」


「それにね、昼間の事すごく嬉しかったんだ」


満面の笑みで答える私に、なんだかぎこちない感じの蓮。


「そう」


「私ね、昔からずっと幸せな恋愛してきてないんだ」


私は蓮から視線を外すと、前を向きながら歩き始めた。

過去を思い出すのはあまり好きじゃないし、不幸な恋愛話をグチグチ話すのも好きじゃない。

勿論、別れたばかりの時は、彩乃や他の仲の良い友達に愚痴ったりするよ。

でも、愚痴を言っても幸せになれる訳じゃないじゃない?


それに、自分が惨めになるだけだから……

だから、あまり言わない。
言いたくない。


でも、今日はさらけ出したい気分だった。

私は過去にあった恋愛遍歴を、全て包み隠さず蓮に話した。

蓮はたまに頷いたり相槌を打つだけで、ほとんど黙って聞いていてくれた。


「……そんな恋愛ばっかでさ、結構イタイ感じでしょ?」


苦笑いしながら蓮を見た。
きっと、余りのバカさ加減に

『お前がトロいからだよ』

位の喝が入るかと思っていた。


でもね、蓮の口からは予想外な言葉が出てきたんだ。