状況が把握出来ないまま、とりあえずいつもの様に蓮の横に並んで歩いた。


何を思っているんだろう?


不思議だった。
普通、喧嘩したらムカついて先に帰るよね?

だから、蓮が何を考えているのか分からなかったのだ。

蓮を見ても暗いせいなのか、はたまたブスッとしているせいなのか分からないが、あまり表情が読み取れなかった。



「悪かったな」


不意の一言に耳を疑った。


「えっ?」


今、悪かったなって……
聞き間違えかな?


「だから…さっきは悪かったって」


私は、ポカンと蓮を見たまま立ち止まってしまう。


「どうしたんだよ!!」


気まずそうに私を見ながら、ぶっきらぼうに言う蓮は少し恥ずかしそうだった。


「蓮が、謝った」


「俺だって……悪いと思ったら謝る事ぐらいする」


視線を泳がせながら、もごもごと話す姿はいつもの蓮とはかけ離れていて、何だかすごく可愛かったの。

そんな蓮を、つい笑ってしまうと


「お前っ!!!人が真剣に謝っているのにだな、笑う奴が……」


「私もごめんなさい」


あまりにも必死に怒ってくるから、私も笑いながら謝った。